1年目職員の気づき
会報「第33号 共に生きる」より(平成23年1月発行)
 Gさんは、40代の女性で言葉は話しませんが、楽しい時は笑う、嫌な時はその場から動かないなど行動で意思表示をしてくれます。

 園バスで通所しているGさんをバスまで迎えに行くと、いつもはすんなりバスから降りてくれるGさんが、何度誘いかけても“降りたくない”と手を振りほどいて全く席から動きません。はじめは、『なんで動いてくれないんだろう?早く降りようよ』という気持ちばかりでした。でも頑として動こうとしないGさんの姿に、これは私に何か伝えようとしているのではと思い直し、昨日のことを振り返ってみました。

 昨日は、活動中にバタバタすることが多くて、Gさんとゆっくり遊ぶことができませんでした。バスに乗って帰る時に「今日はごめんね。明日はゆっくり遊ぼうね」と約束をして送り出したことを思い出しました。「そうや!明日は遊ぼうって約束したものね。昨日はゆっくり遊べなくてごめんなさい。ちょっと遊んでから行こう!」と声をかけました。ゆっくり話をしたり、手足を動かしてリズムをとったり、歌ったりして遊んでいるうちにGさんの表情が少しずつ明るくなってきました。「そろそろみんなに顔を見せてあげようか…Let’s Go!」と言って声をかけましたが、動こうとしないGさん。「よし!もう少し遊んでからにしようね」と、またしばらく2人で歌ったり、リズムをとったり…そして、「Let’s Go!」と声をかけると同時に立ち上がりバスを降りたGさんは笑顔で部屋まで歩きました。

 当初、私はバスから降りようとしないGさんの気持ちを考えようとせず、早くバスから降りて欲しいと自分の気持ちを一方的に押し付けていたように思います。気持ちを押し付けるのではなく、相手がどう思い感じているのか、何を伝えようとしているのかをていねいに確認しながら、一緒に考えたりすることの大切さを感じたできごとでした。
※写真はイメージです。

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