「Uさんから学んだこと」〜決めつけずに信じることの大切さ〜
会報「第47号 共に生きる」より(平成30年3月発行)
 Uさんは障がいが重く、言葉で意思を伝えることが難しい方です。普段、好きなものや苦手なものなど気になるものが紙に書いてある時、その部分だけ手で破り口の中に入れてぐちゃぐちゃにして吐き出してしまいます。

 ある日の朝、園バスから降りるとそのまま事務所に入り、何か紙を探しているのか机の引き出しを開けて紙を取り出そうとしたことがありました。私は破られては困ると、「引き出しを開けないで」と引き出しが開かないように手で押さえたり、Uさんが紙を手に取ると、すぐにその紙を取り戻そうとしたりとUさんの行動を止めるばかりでした。Uさんは私に止められたことで余計に必死になり、紙を破ってしまいました。Uさんの怒っている表情を見て、もしかして私が「Uさんが紙を破るに違いない」と行動を決めつけたことに対する怒りではないかと気が付き、Uさんに嫌な気持ちを抱かせてしまったことを、とても反省しました。

 次の日の朝も、園バスから降りると事務所に入り、前日の私の行動が嫌だったと伝えるかのように、すぐに机の引き出しを開けて紙を取り出そうとしました。私は前日の反省からUさんの行動を決めつけないでおこうと意識しました。また破られてしまうかもしれないと不安な気持ちもありましたが、Uさんを信じて焦らずに無理に止めずに「これは大切なお仕事の書類ですね」という言葉だけ伝えました。そうすると、Uさんはその紙を破らずに、引き出しに戻してくれました。

 私はこのことから、自分の行動が相手の立場からどう見え、どのような気持ちを抱かせるのかを意識して行動しなければいけないと学びました。このことは当たり前のことですが、私は自分の不安な気持ちを優先してしまい、Uさんが紙を破るのではないかと疑って焦ってUさんの行動を止めてしまいました。まだとってもいない行動に対して誰かに決めつけられ注意されることは誰でも嫌なはずです。たとえ、Uさんがよく紙を破る人であったとしても、Uさんの行動を決めつけずに今のUさんを見ること、そしてUさんを信じることが大切であるということを学びました。
※写真はイメージです。

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