『すみません』から『ありがとう』に変わって思うこと
会報「第40号 共に生きる」より(平成26年9月発行)

 Sさん(女性)は重度の知的障がいがあります。言葉でのコミュニケーションは難しいですが、新聞やチラシをよく見ていて、気になる文字の所にセロテープを貼ったり、指でコンコンと軽く叩いたりして知らせてくれます。それをきっかけにSさんが思っていること、考えていることをあれこれ推測しては話しかけてやりとりをしています。こちらの言うことが当たっている時は、しっかりと返事(発声)をしてくれますし、表情も当たっている時とそうでない時は全然違います。
 Sさんと関わり始めたころ、私はSさんが外出先でチラシを見つけると、何枚も持って帰ろうとするので、それを止めようと必死になっていました。私はSさんとの外出が嫌になりそうで、お店の人にも申し訳なく謝ってばかりでした。
 そんなある日、スーパーに行くといつも以上にレジが混んでいました。私は長い間Sさんが待つことができるかどうか、わからなかったので不安になり、緊張した面持ちで「もう少しでSさんの順番だから」と声をかけたのですが、次第にイライラし始めました。その時、レジの店員さんが私たちに「もうちょっとやから待っててな!おばちゃん早くレジしてるからな!」と声をかけてくださいました。そしてSさんの番になると、「待たせてごめんな。いつもありがとう!」と言ってくださったのです。
 そのあとSさんは、イライラしたり、チラシを取ろうと必死になったりすることなく、穏やかに買い物を終え、施設に帰りました。
 それからSさんとスーパーに行く時には、声をかけてくださった店員さんのレジに並ぶようになりました。あいさつをすると向こうも「Sさん!」と名前で呼んでくださるようになり、世間話もするようになりました。いつの間にかSさんと店員さんとで直接やりとりができるようになりました。Sさんが店員さんの方を向いてチラシを指さし、チラシが欲しいと要求した時には「今日はあげるね」「今日はあげられへんねん。また明日あげるからね」など自然に返事をしてくださっています。店員さんと直接やりとりをすることで、Sさんも納得できたのか、チラシにこだわることが少なくなりました。最近ではスーパーだけでなく、いろんなところへ出かけています。外出をし始めたころ、私は周りの人に「すみません」と言っていたのですが、今では「いつもありがとうございます」とあいさつをするように変わっていることに気づきました。Sさんのおかげで、地域の方とも馴染みになれたことに感謝しています。
※写真はイメージです。

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