今、どうしても必要な自己主張 Aさん
会報「第27号 共に生きる」より(平成20年3月発行)
 養護学校高等部卒業後は、「家にいます」「どこにも行きません」と宣言していたAさんが「ここなら来てもいいかな」と言ってくれたのが風の子そだち園でした。人との関係に悩み緊張しがちなAさんも、話をしやすい職員には徐々に気持ちを伝えてくれるようになっていました。

 Aさんの大好きな車を使った活動は、他にも参加する人があり、特に車の助手席には座りたい人が集中しました。

 ある日、車での活動に誘っても頑として動かないAさんの姿がありました。職員がいろいろと聞いていくうちに、ようやく「僕は助手席に乗りたいんだ!」と泣きながら、せきを切ったように話し始めたAさん。
 それまでは、人から「貸して」と言われると、自分が使っている物でも貸してあげたり、「助手席に乗りたい」と言う人に車の席をさっと譲っていたAさんの、「何で、僕の本当の思いに気づいてくれなかったんや!」という強い訴えの始まりでした。

 「今までは言われへんかったけど、本当は嫌やった」と、ようやく職員に伝えることができたAさん。今は「今日は園には行かないよ」「職員の○○さんに家まで来て欲しいんだ」「○○さんと××に行きたい」など、はっきりと自分の意思を伝えるようになってきています。
※写真はイメージです。

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