沿革

「精神障がいと発達障がい 〜かかわりのヒント〜」
(平成28年1月29日〜3月25日)

 近年、いわゆる精神障がいや発達障がいと言われる方々から支援を依頼されることが急増しており、ご本人やその家族が持つ生きづらさ等について理解を深めることが重要な課題になっています。
 西淀川区地域自立支援協議会では、まず家族や実際に支援を行なっている事業所から聞き取りを行なった結果、「今、行なっている支援は間違っているのでは?」「薬のことが知りたい」「発達障がいの特性を理解して関わってほしい」「親亡き後のことが心配」等々のご意見を頂きました。そこで西淀川区で開院されておられる杉山診療所の杉山院長、精神障がい者支援を主な業務とされている地域活動支援センターCOCCOLO、こども部会に参加頂いている保護者、、風の輪が中心となり、「精神障がいと発達障がい 〜かかわりのヒント〜」と題し、3回連続講座を企画開催いたしました。
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第1回「精神障がい者の病気・薬、かかわり 意見交換」
医療法人杉山診療所 杉山博通氏
【日時】 平成28年1月29日(金) 午後3時〜4時30分・午後6時〜7時30分の2回
【参加者】 昼・夜2回の設定で合計80人(相談支援事業所、居宅介護事業所中心に地域の当事者とその家族等)
【講演内容】
 まず、杉山先生からみんなで共有したいことの到達点として、次のことを挙げられました。精神障がい者との関わりとして、「部分的にはできる人に対して、どのような障がいを抱えているか、知識と観察力を持って『想像』し、対応を『創造』していく」。
 精神障がい者は、自ら表現することがほとんどなく、それ故、何が障がいになっているのかを『想像』する必要があります。
 そして『想像』できるようになるためには、知識と観察力が前提で病気の症状、薬、合併症の知識、そしてその患者が抱えている症状、その患者がおかれている状況、生活能力を見てとれる観察力が必要となります。
 有効な対応は、患者さんや時々の状況に応じて違うため、“創造”して行く必要があります。また、その時に知っていれば、すぐに解決できることもあるため、とくに社会資源やサービスについての知識は必要だということでした。
 後半には、向精神薬の話とその副作用として、のどが渇くことで大量の水を飲み、水中毒になること、便秘排尿障がい、眠気、性ホルモン異常、循環器症状、体重増加などがみられること。抗精神病薬は陽性症状や感情障がいにしか効果を持たないので、薬以外の治療法として陰性症状や認知機能障がいにはリハビリテーションが有効。精神科デイケアや福祉の日中系サービス(就労移行、就A、就B、地域活動支援センター)があること。
 そのなかでも精神科デイケアは、治療の場であり、『失敗ができる場』であることなどを話されました。
 その他に幻聴の受け止め方、態度として、内容をなるべき気にかけず相手にしすぎないのも大切なことや家にゴミがある場合、関わる目的として部屋をきれいにするのか、自身でゴミが捨てれるようになるのか、近隣の人間関係の改善のどれになるのか?ということを考えるのが大切だということなど、どのようにしたらよいのか?をみんなで一緒になって考え、協力しながら「対応を創造していく」ことがこの仕事のおもしろみだと最後に話されました。
【感想】
薬の副作用等もあり、ご本人や先生と相談が出来るような関係が築けたらと思った。
観察が支援していくうえで大切で、継続して寄り添っていく必要があるんだと知ることができた。
「共有したい到達点」の部分、共感できました。もっと聞く力を身につけたい。
聞くことの大切さ、また、聞いてもらうことで落ち着けるということを再確認できた。
どのように利用者さんと向き合っていいのか、少しわかったように思う。
医療と福祉が連携を取り、精神障がいの方の社会復帰に力を注ぐ重要性がわかった。
プライバシーのことがあるので難しいと思うがもっと様々な実例を挙げてほしい。


第2回「大人も子どもも『これならわかる!これならできる!』と感じる支援を考える」
大阪市こども相談センター教育相談担当係長 西原弘氏
【日時】 平成28年2月19日(金) 午後6時〜8時
【参加者】 70人(相談支援事業所、障がい福祉サービス事業所に加え、幼稚園、保育園、小学校の先生方など)
【講演内容】
 講演の前半は、特別支援教育の理念や合理的配慮、そして研修のタイトルにもあるユニバーサルデザインの考え方について教えていただきました。ユニバーサルデザインが障がいのある方への特別な支援や配慮ではなく、誰もがわかりやすい・使いやすいものを目指していることを、私たちが普段の生活で目にするシャンプー・リンスの容器や、エレベーターなどの標識(ピクトグラム)を例にわかりやすく説明してくださいました。
 後半は、学級のなかで気になる子どもたちにどのように教えたり、働きかけをすればいいか、「整え上手」「伝え上手」の2つのポイントを挙げ、疑似体験などを通して参加者も一緒に考えました。子どもにとって過ごしやすい環境を整えたり、理解しやすい伝え方を工夫することで、できることが増え、またできることをほめられれば自己評価が高まっていき子どもの成長につながっていくということを学びました。
【感想】
明日からの支援を見つめ直していきたい。
わかりやすく、真似したい。
教育の現場、福祉の現場の方が一緒に話を聞けたことも良かった。
子どもたちを怒るのではなく、自分の伝え方を工夫しないといけない。
子どもにわかりやすく伝えるということは、誰にでもわかりやすく伝えられるということがよくわかった。


第3回「医療と社会資源活用・親亡きあとの支援について事例検討」
西淀川区区役所保健福祉センター 木本佐和子氏(保健師・精神保健福祉相談員)
社会福祉法人水仙福祉会 西淀川区障がい者相談支援センター風の輪
社会福祉法人加島友愛会COCOLO相談支援センター
【日時】 平成28年3月25日(金) 午後3時〜4時30分
【参加者】 40人(相談支援事業所、居宅介護事業所、生活介護事業所、就労移行支援継続B型事業所、放課後等児童デイ、支援学校、南西部地域包括支援センター)
【講演内容】
 1回目・2回目と同様に前半は、西淀川区役所保健福祉センターの精神保健福祉士 木本氏より、保健福祉センターでの業務や社会資源についての講座を聴講し、区役所内で開催されている「家族教室」「酒害教室」「日常生活向上教室」などの社会復帰に向けた取り組みについて知ることができました。
 後半については、今までと手法を変え、事例についてグループワークに取り組んでいただきました。
 関係機関の連携が不十分だったことが原因で、ご本人の思いを実現させることができなかった事例について、「いつ誰がどうするべきだったか、自分たちの事業所ではそうするか、今後の対応についてはどうするか」といったことにポイントを置きながら、それぞれの機関の方から意見を出していただき、グループごとに発表をしました。
 6〜7人ずつ5グループに分かれて話し合ったのですが、どのグループも共通していた意見が、本人の隠れた思いに気づけていなかったこと、高齢の母親の思いに寄り添う人がいなかったこと、関係機関が個々で対応していたことなどでした。
 今後についても、関係機関の連携の大切さや、母親や本人の思いをもっとしっかり聞き取れるような環境を整える大切さなどがありました。
 事例検討ではありましたが、参加機関が多機関だったこともあり、個別支援会議を思わせるようなグループワークになり、どのグループからも「本人の思いを大切にする。家族の思いも汲み取る」といった内容があり、単純にサービスを調整し、提供するだけが支援ではなく、本人の立場に立った支援をしていきたいという思いを参加者みなさんが持っておられることに気づくことができる講座となりました。
 今回は時間の問題もあり少し不完全燃焼だったので、次回はもう少し内容を深めることができるように準備をし、今回のグループワークの第2段を企画し、もっとみなさんの考えを伺い、西淀川区における障がい者支援が西淀川区内の事業所すべてにおいて共通したものになっていく様活動する必要性を改め感じる研修会となりました。今後についても、関係機関の連携の大切さや、母親や本人の思いをもっとしっかり聞き取れるような環境を整える大切さなどがありました。
グループワークの様子
グループワークではみんなで意見を出し合い、模造紙にまとめました
【感想】
事例検討を通して、専門家の方からお話を聞けて勉強になりました。
初めての経験だったが、おもしろかった。また、ワークに生かしていきたい。
他職種の意見が聞けて良かった。事例をもとに検討できたのが良かった。
精神の社会資源の確認ができて良かった。
時間が短く、しっかり最後まで話を詰めることができなかった。
いろいろな関係機関を交えて話ができ、違った視点で意見交換できたので良かった。

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