自然と人間
(2023年6月・第543号「風の子だより」より)

 最近テレビでよく放映されるものに、自然豊かな農村や里山に都会から移住し、生活を楽しんでいる人たちの姿があります。

 それは都会の合理的な生活や便利さの裏返しでの競争的、効率的生活に耐えられなく、手作りの原始的生活への郷愁と憧れの気持ちから生まれたものと言えましょう。人間はもともと自然の動物ですので、作られた文化の生活から逃げ出し、山、海、川、緑、農工作、漁業、林業、果樹や花木の栽培等への自然とのかかわりに興味を覚えるのだと思います。

 しかしながら自然豊かな環境で育った人と、都会だけで育った人とでは大きな違いがあります。都会育ちの人の中には、季節ごとに咲く花を見ても関心が薄く、まして花を育てる(例えば、花に水をあげる)という意識がほとんどない人がいます。

 水仙福祉会は、丹波篠山に山の家を持っています。この6月17日(土)に「梅採りツアー」を法人施設の職員や施設利用者の方々と梅採りをし、楽しむことをします。毎年、100人を超える大人子どもが集まって、大変な量の梅を収穫します。これは都会では体験できない楽しみです。この梅採りの時期、山の家では近くの川でホタルを見ることができます。今年も都合のつく方々には、ホタル狩りの時間を用意します。

 今から10年ほど前に、児童館のあるお母さんが、「私は生まれて初めてホタルを観た」と大変感動された様子が忘れられません。理屈抜きの感性の喜びは、その人の人生観を大きく変える事でしょう。

 アメリカの女性の海洋生物学者であるレイチェル・カーソンさんが、「センス・オブ・ワンダー」という名著を出版されましたが、その中の自然への驚きや感激が生きることの喜びに通じるという言葉に納得をするものです。

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