運動会について
(2022年9月・10月・第535号「風の子だより」より)

 暑い夏も終わり、すっかり秋の到来を感じるこの頃になると、「もうすぐ運動会だな」と頭に浮かびます。

 園では運動会を毎年行なってきましたが、実際は大変な悩みの行事でもあります。日本では、運動会という行事を保育園、幼稚園のみならず、小中高のほとんどの学校でも実施しています。これは日本の明治以来の特徴的な慣習でしょう。幼児教育の発達したヨーロッパ諸国では、こういう行事の習慣はありません。もちろん、学校の教育機関でも行なっていません。

 なぜ日本の学校や保育施設では、年一回の運動会行事を施設あげて派手に行なうのでしょうか。それは明治政府の富国強兵政策の一環として、子どもの時期から心身の鍛錬を行ない、軍隊のように集団的統率に慣れるよう練習をして、その成果を発表するためでもあったのでしょう。

 しかし、子どもにとっては運動能力が秀でた子もいれば、不得手の子もいます。足の早い子、遅い子、体の敏捷な子とそうではない子がいます。みんな個人差があります。

 こうしたことを考え、風の子保育園ではこれまで運動会において、子どもたちの運動能力の優劣を決めるための種目にせず、どの子も楽しく参加できる内容のものを選択して行なうように努力してきました。

 でも観ている保護者の方々には、運動会についての既成概念があります。「よくできてよかった、できなかって残念だ」という捉え方になる方々も多いことでしょう。しかし大きくなってから、子どもの頃の運動会が嫌だったという思いをもつ大人の方が結構います。この思いの悪い運動会にはしたくないものです。

 日本の幼児施設でも、運動会のない所が結構あります。風の子保育園は子どもの主体性を大事にする「自由保育」を理念とする園ですので、それにふさわしいような運動会をしていく必要があります。

 今年もまた、新たな構想をもって行ないたいと思います。

園長手記ページに戻る  トップページに戻る
設置・運営主体
社会福祉法人 水仙福祉会