子どもを主体とする教育・保育
(2021年6月・第521号「風の子だより」より)

 私たちの法人には、西淀川区に「風の子そだち園」という成人の障がい者対象の通所施設があります。その区内にステンレス製品を製造する中規模の会社があって、古くから「風の子そだち園」を大変応援してくれています。しばらく前に、その若い社長とお逢いし雑談している中で、その社長の小学生の息子さんをわざわざ東京にある私立の学校に通わせていることが分かりました。その学校は、有名な羽仁もと子さんが創設した「自由学園」という小中高を持つ学校でした。

 何とも教育熱心な方だと感心いたしましたが、その学園は自由教育を理念とした知る人ぞ知る学校です。生徒全員が寄宿生活をしますが、大阪から遠く離れた所へ行く、その勇気に感動させられます。

 こういう学校が関西にもあるのだろうかと思いますが、今から25年程前に「きのくにこどもの村学園」というのが三重県の伊賀上野に出来ました。風の子保育園の創立四十周年の記念行事に、この学園の校長である堀真一郎先生を招き、講演会を行いました。この先生は大阪市立大学の先生でしたが、自由教育の大切さを実践したいということで、私財を投げうって学校を作ったのでした。

 羽仁もと子さんの「自由学園」も、堀真一郎さんの「きのくにこどもの村学園」も、風の子保育園の理念とまったく同じです。本来、教育や保育は、教師や保育士が主体で展開するものではなく、あくまで子どもたちを主体として授業や保育がすすめられねばなりません。公立の小中学校は、江戸時代の寺子屋のスタイルからまったく進歩がありません。すべて上から目線で「右向け右、左向け左」の強制力で進展します。授業は、一定の進度で進みますので、分からない子は切り捨てられて進級することになります。これが今の教育の最大の問題点です。昨年、風の子保育園の卒園児さんの1人が、「きのくにこどもの村学園」を希望したのですが、満員で入れませんでした。一生懸命探して、同じ姉妹校として福井県に「かつやま子どもの村小学校」があることが分かり、わざわざ全寮制にて入学されました。

 教育や保育の中身を問う動きを感じさせられます。

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設置・運営主体
社会福祉法人 水仙福祉会