親と園で育てる子ども
(2020年8月・第509号「風の子だより」より)

 標題の「親と園で育てる子ども」のスローガンは、今から五十年程前の保護者会の役員さんと園との合意で決めたものでした。その頃は、まだまだ社会全体が貧しい時代でしたので、お母さんも懸命に働くのに忙しく、子育てについ手を抜く心配がありました。

 子どもが荒れる、無理を言う、素直でない、親に反抗する等々の子育ての悩みが、よくクラス懇談会で出されていました。これが保護者会の役員会で話題となり、会の活動の中で、どのように考えていけば良いかについて、みんなで真剣に取り上げていこうということになりました。

 その後、親の勉強会に力を入れることになり、昭和四十一年から大阪市教育委員会の後援を受けて家庭教育学級を開始しました。一年間に八回、毎回熱心に実施しました。開催時間は、午後六時半頃から二時間程、毎回四十~六十名の保護者、主にお母さんが集まりました。講師の先生は、大学で幼児教育を専門にされている方々でした。

 主なテーマは、次の通りです。「正しい叱り方、褒め方」「テレビとマンガの与え方」「家庭における父親の役割」「子どもへのしつけとは何か」等々です。こうした勉強会を三年間続けて実施しました。

 この時に参加したお母さんやお父さんは、しんどかったけれど楽しかった。本当によく勉強した。と感想を述べ合っていましたし、その人たちが卒園されても、親しく付き合っておられる関係が自然にできていました。

 あれから随分年数が過ぎていますが、その当時の子どもたちは、皆立派な成人となり、社会で活動されています。

 では現代の保護者の方々はどうでしょうか。五十年前の時代より、もっと長時間の保育をもって仕事をされています。お母さんの労働時間は、はるかに永くなっていますし、子どもは長時間保育で生活しています。前述のスローガンにもう一度返って、子育てを見直してみる必要を感じます。

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