「引きこもり」について
2019年5月・第495号「風の子だより」より

 昔から学齢期にある不登校などの「引きこもり」は、よく知られたことですが、若い青年や壮年の人たちの引きこもりが2015年の内閣府の調査で、全国で54万人と推計されていました。これは、15歳から39歳の人を対象とした数字です。

 パワハラやセクハラも含めて、厳しい社会に適応しにくい若い世代の悩みが想像できます。当法人でも、毎年多数の採用面接を行なっていますが、新卒者でない面接対象者の中で結構多数の方の中に数多く転職を繰り返している方がいます。腰を据えて仕事をするということが性格的に難しいのでしょうか。これも現代の特徴のように思います。

 さて、最近の報告ですが、40歳から64歳の中高年の層の人たちが全国で61万人引きこもりの状況にあると報じています。やはり内閣府の調査です。もう引きこもりは、若い人たちの独占ではありません。この61万人の半数は、5年以上の引きこもりのある方を推計されています。

 引きこもりの状況は、自室や自宅から全く出ない人に加え、「趣味の用事の時だけ外出する」「近所のコンビニなどには出かける」などの状態が半年以上続いていることを指しています。引きこもりの要因は、主として職場での人間関係がうまくいかないことからの退職が多いとされています。就労意欲が特別低いわけではなく、対人関係が苦手だという傾向が強いことが分かっています。

 この人たちは、親の介護などを抱える方たちも多く、一層複雑な社会福祉問題を提起しているようです。いずれにしても引きこもり現象は、対人関係の調整能力がうまくできないことにあるのでしょう。

 こうした人格上の問題は、早いうち、小さい時期ほど手立てをすることが可能です。幼児期、少年期において、社会性をどう育てていくかが重要だと思います。

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