食育について
2018年6月・第484号「風の子だより」より

 文明の発達の中で、食文化もまた大きな発展をとげました。5・60年前と比較すると、その変わり様が分かります。私たちの周りでは、世界中の食べものがあふれていますし、テレビでは、食べることの番組の多さに驚く毎日です。お金を出しさえすれば、いくらでもおいしいものが口に入ります。食べるということは、誰しも楽しいものですし、おいしいものを食べたいという欲求はみんなが持っていることでしょう。しかし、それにしても食文化が、商業ベースで際限なく拡大してきたことは事実です。

 こうした時代の反映として、家庭での食事の仕方が大きく変化してきました。それは素材を煮たり、焼いたり、揚げたりすることが減り、出来合いのものを購入したり、加工されたものを利用したりいて、余り手間暇をかけないようになってきています。 先日のテレビでは、今スーパーなどでカット野菜が大人気だそうです。それは皮をむいたり、刻んだりする手間がないからです。したがって食生活が大きく変わったと言えるでしょう。

 さて、子どもの成長にとって、食事は大変に重要です。乳児期は離乳食に始まり、1才児は何でも良く食べます。1才後半頃になると、自我の発達に合わせて、好き嫌いが出てきます。これも成長の一つの表われです。食べ馴れないものや、形や色を見て気に入らないと食べないのも、自分を守る本能の働きでもあります。こうした反能も、好きな人、例えば大好きなお母さんがおいしそうに食べる姿を見て、自然に模倣して食べるようになっていきます。食べる行為は、子どもの発達を正直に表しています。

 前述の食生活の変化は、お母さんの手づくりの食事の材会が減ってきたことを意味しています。食生活の合理化は、子どもにとって、いわゆる思い出となる「おふくろの味」が、段々に減りなくなっていくことでもあります。こうした時代だけに、風の子保育園の給食は、この大きな課題のために「新たな食育」を考え、努力していく必要を感じています。これまでの防腐剤、着色料等の添加物のある加工商品は使わない、化学調味料は使わない、中国産野菜、輸入食品は食材として購入しないなどの安全面での徹底をしてきましたが、子どもたちが楽しみ、喜んで食べる「おふくろの味」としての給食に、献立内容に一層の工夫を考えていきたいと思っています。

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