老人月間が終わって
2017年10月・第477号「風の子だより」より

 つい最近の新聞紙面に、今年の9月15日の時点で、90才以上の方が、日本の人口のうち26万人になったという記事が出ていました。それは前の年より14万人多いということです。

 今から37年前の1980年の時では、90才以上の方が12万人だったということですので、何とも急速な増え方です。

 私たちの前の世代の人たちの時代には、「人生50年」というのが人間の寿命、と言われていました。そして、70〜80代の人は長寿と羨まれ、喜寿とか米寿とかの言葉が使われていました。でも現代の平均寿命は、男女とも80代に入っています。戦前から戦後の長い間、職場での定年は55才でした。最近は、大半が60才が標準になっているようですが、多くの定年退職者は大抵、再び就労しています。統計では65才以上の高齢者で就労している人の数は、770万人といわれています。

 したがって、65才以上の過半数の方々が働いているということと定年との矛盾がはっきりしているようです。一方で社会は人材不足で困っている状況ですので、定年を更に延ばすか、再雇用の制度を設けるかの新たな対策を必要とする時期に来ているようです。

 社会貢献の面で、例えば地域において活躍されている民生委員、保護司、そして人権擁護委員などの名誉職の方々も、法律でもって75才未満の人となっていますので、今は各地で成り手がなく欠員状態が続いています。かつては、時間と余裕のあった60才以上の人たちにも働く方が増え、地域貢献する人が居なくなってきたわけです。いろいろと難しい時代になってきました。

 人が長生きするようになった事は、医学の進歩のお陰でもあると思われますが、本当は大変喜ばしいことです。しかし、一方で必然的に認知症の方や身体が不自由な方が増えることは致し方ありません。そして、こうしたお年寄りを虐待する悲惨な事件も後を絶ちません。

 長寿を喜び、高齢者を大切にする社会の気風を広げていきたいものです。 

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