創立60周年の風の子保育園(2)
2017年9月・第476号「風の子だより」より

 風の子保育園の保育内容は、@自由保育、A縦割保育、そしてB障がい児保育の3本柱です。この@とAは、Bの障がい児保育の実践から生み出されたものです。

 1971年(昭和46年)に、実験的に始めた障がいを持つ子の保育は、未だどこの保育園や幼稚園でも行なわれていませんでした。この子たちは、ほとんどの幼児施設から門前払いされ、就学するまで家庭に閉じ込められていました。就学年令になっても、どの小学校でも障がいの子を受け入れている訳ではなく、就学猶予や、就学免除を役所から貰い、家庭で過ごす時代でした。

 こんな時期に、風の子保育園が少人数ですが受け入れを発表した時、わが子をぜひ入れて欲しいと、障がい児を抱える親が殺到してきました。こうして何人かの障がい幼児が一般健常児と共に保育されたのです。この活動が保育界に大きな反響を呼び、一般の保育園に次々と障がい児保育が広がり、10年後には国が取り上げて、全国的な課題に広がりました。

 しかし、障がい児保育は、これまでの保育を革命的に変える要素を持っているものですが、多くの保育園では旧来の保育の体制のしくみをそのままにして障がい児を導入するという、形だけのものがほとんどでした。単的に言えば、年令ごとのクラスの中で、設定保育やいっせい保育が中心ですので、障がいのある子が過ごす環境には程遠いものと言えます。

 障がい児保育は、障がいのある子が一般健常児の豊富な刺激の中で育つという積極的な面がありますが、同時に健常児もまた学ぶことがたくさんあります。人に対するやさしさが自然と育っていきます。それには保育の環境を競争の環境でなく、共に育つという環境に変える必要があります。風の子保育園の自由保育や縦割り保育は、すべての子どもにとって必要な保育であり環境であると確信しています。

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設置・運営主体
社会福祉法人 水仙福祉会