新年度を迎えて
2016年4月・第459号「風の子だより」より

 4月の始めには、各地の桜が満開となり、私たちの目を楽しませてくれました。今年も4月1日に入園式を行ない、0才と1才の乳児さんが41人入園しました。2才以上の方は、残念ながら募集の枠がなく、入園いただくことができませんでした。

 この時期の年令の子は、3才の反抗期、実際は母子分離していく第一次独立期とも言われている3才までの、大変に変化の激しい発達の時期の子たちです。この子たちにとっては、一日々々が成長の日々です。

 親から見ると、親の思う通り子どもを左右できるように思いがちですが、実際は違います。0才の時期は、母子一体化の時期ですので、親の意向はストレートに子どもに反映することができます。しかし、0才児も入園して間もなく、1才の誕生日を迎えます。

 子どもは1才になった途端に、自分の意志を育てようとします。これが自我の芽ばえです。保育園のような集団での生活だけに、発達は早くすすんでいきます。1才半になると「イヤ、イヤ」の発言が一杯出てきます。しっかりと自己主張している姿です。

 こんな時、親の思いに反した行動をしたとき、親は腹を立てて「ダメー」と言ったり、「早くしなさい。」「もう、知らないよ。」と言ったりして、禁止することがあります。つい腹を立てたくなります。でも、これが今の子どもの成長の姿だと思って、ぐっと堪えて欲しいところです。「ああ、そうだね。嫌だったんだね。」と子どもの気持ちに寄り沿うことで、子どもは素直な姿に戻ります。

 この時期、叱ったり怒る必要は殆んどないと言われています。危害をもたらす行動や、本人の生命の安全にかかわる行動の時には、しっかりと注意が必要ですが、それ以外は暖かい愛情の中で育ててほしいと思います。

 ある教育学者は、「どの子もすばらしい人間に育つ素質をもって生まれてきている。」と言っています。生まれたときは、みんな一線にあります。マラソンにスタートラインと同じです。でも長い人生の間に、差がついてしまいます。人間は、マラソンと違って、同じ道を走っていくわけではありません。一目散に走る人もいれば、寄り道する人もいます。また、違った道を選ぶ人もいます。これが、その人の個性です。その個性、また人格の基礎が3才までの乳児期につくられます。本当に大切な時期です。今年度も、「親と園とで育てる子ども」を目標に努力して参りましょう。    

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