「清水基金」に思うこと
2016年1月・第456号「風の子だより」より

 去る十1月25日に、東京で行われた「清水基金」創立50周年記念式典に出席しました。これは私共の法人職員が、清水基金の助成によって、これまで5人も海外(主としてヨーロッパ)に各3ヶ月間研修に参加させていただいたので、その感謝と御礼のために出席したのでした。

 清水基金は、清水建設が設立した社会貢献のための独立した法人です。昭和四11年に設立され、これまで社会福祉事業への助成総額は105億円に上るといわれています。

 記念式典に出席して分かったことですが、清水建設の初代社長の清水康雄氏が資本主義の父と呼ばれた「渋澤栄一」氏から、「会社の利益は、社会のお蔭で得たものであるから、利益の一部は社会に還元しなければならない。」とアドバイスを受け、清水基金を創設したということでした。

 やはり人間は、秀れた人と接触し、その人から精神の影響を受けることの必要を感じさせられました。私共の法人に、「水仙の家」という高齢者のデイサービスセンターがあります。今から10年程前に、児童文学者の小宮山量平さんが「水仙の家」においでになり、講演会がありました。その折に、小宮山量平さんが少年時代、前述の渋澤栄一氏の元で給仕として働いていた時、小宮山さんは思想問題から特高警察に捕まりました。取り調べの後、釈放されましたが、渋澤栄一氏は素知らぬ顔にて、何かれとなく面倒を見てくれたとのことです。小宮山さんは、渋澤氏の腹の太さに人物の立派さを今でも感謝しているとの話をされていました。

 小宮山量平さんは、昨年他界されましたが、戦後「綴方きょうだい」というベストセラーの本を理論社から出されたことで有名な方です。話が色々と交叉しましたが、清水基金五十周年の記念式典に出席して、あれこれと考えさせられたものでした。

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設置・運営主体
社会福祉法人 水仙福祉会