乳児期の「イヤイヤ」を考える
2015年8月・第451号「風の子だより」より

 子どもは1才半過ぎになると、自我が芽ばえてきて、「イヤイヤ」の時期に入ってきます。これまで素直に甘えてきた柔順だった可愛い我が子が、どうしたことか何か反抗的な態度を取るように見えて、親の方も腹を立てたくなります。

 でも子どもが「イヤ」と言うのは、余り意味があってのことではありません。感覚的、衝動的なもので、理屈抜きのものと言えます。しかし、この「イヤ」という言動は、その子にとって自分の主体を築いていこうとする大切な働きです。

 一般に子どもは、3才までに生涯の人格形成、いわばパーソナリティが作られると言われています。この1才半から3才までの人格形成の時期が、先の人間の形に大きく影響するのではないでしょうか。

 したがって、この「イヤ」の時期の子どもに対して、うまく対応することが大事であろうと思います。しかし、子どもの激しい「イヤ」の言動に対して、おおらかに受けとめられるには、お母さんの心の余裕が必要です。仕事の忙しさと時間に追われる中での子育てに、子どもの振舞いに対して感情的になってしまうのも理解できます。

 しかし、やはり広い視点に立って、子ども主体に対応して欲しいと思います。何故なら、この「イヤイヤ」の時期は、その子の人生にとって、ほんの短かい期間であります。そして、その期間が、将来を支配する大切な時期でもあるからです。

 3才までの子は、「良い、悪い」とか、「正しい、正しくない」の理屈で判断はできません。この時期は、「好き、嫌い」とか、「嬉しい、嬉しくない」などの感覚的なものが判断基準となります。大人の判断基準と大きく隔たりがあります。「駄目よ」と叱っても意味が分からないことが多いと言えます。

 「嫌だったのね」とか、「悲しかったのね」とか、「こうしてほしかったのね」などと、子どもの気持ちに共感する育て方が、特に大切であろうと思います。

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