どんな子どもに育てたいか
2014年2月・第433号「風の子だより」より

 標題のテーマは、子育てする親の共通の関心事です。わが子がどんな子に育っていくのか、親にとっては楽しみでもあり、心配でもあります。子どもが小さい時には、可愛いさが先に立ちますので、将来のことを考えることは殆どありません。しかし、3才過ぎて、子どもの人格が段々に見えてくるようになると、将来像が頭をよぎることになってきます。小学生になると、親の期待感や不安、心配も一層増幅してきます。

 以前から、よく言われることに「親の願いと子どもの思い」の矛盾が、学齢期になると表面化する場合が多くなります。親は、わが子が「こうなって欲しい」という期待と願いをもって子どもを育てようとします。しかし、子どもは別の思いがあって、嫌がったり拒否したりすることが生じたりします。もう、この時点になると、親の思うように子どもを左右することはできません。

 可塑性と言って、粘土をこねて形をつくるのと同じで、柔らかい可塑性がある時代は、本当に子どもの小さい頃に限定されています。子どもは、1歳半を過ぎると自我が芽ばえてきます。自分というものを少しずつ作り上げてきます。「イヤー」という言葉を発して、自分の意志をしっかり出すようになるのも、結構早い時期です。

 このように考えると、どんな子に育って欲しいかという親の願いは、願望としてはあっても具体的に子どもを左右したり、支配したりすることは殆ど不可能です。思春期の時期になり、親子関係がうまく行かない場合には、それまでの親の意志が強すぎることから生れるのではないかと言えます。

 だからといって、親はわが子に対して無方針であって良いわけではありません。大切なのは、子どもは生れたときから一人の人間としての人格をもって成長していきます。したがって、その子どもの主体性を尊重しながら、子どもを引っぱるのではなく支えていくという形が大事だろうと思われます。

 子どもを育てるということは、本当に難しい営みです。

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