自立した卒園児
2013年7月・第426号「風の子だより」より

 風の子保育園が保育の形態をタテ割保育にし、保育の方法を自由保育にして取りくんで四十年を越える歴史になります。この保育で育った子が、将来どんな人間になって成長しているのだろうか。大変興味のあるところです。

 永い年月が経ち、大人になった卒園児の動向は、時折伝わってきますが、保育園時代と結びつけて理解することは困難です。しかし、風の子保育園を卒園した子の中で、風の子児童館に通う子が常時五十人近く存在していますので、近いところで追跡することが可能です。

 五月二十四日(金)に、児童館に通う一年生のお母さんが十人程集まり懇談会を行いました。手厚い援助を受けて育った保育園生活と違って、学校は子どもたちにとって厳しい環境です。大勢の子どもに先生は一人。すべては子ども自身が自己責任、自己管理をしなければなりません。

 登校は、大きな子にまじっての集団登校です。学校に行っても、保育園時代のお友だちの姿は余りありません。そんな中で、学校生活をうまく乗りこえて行っているのだろうか、どの親も心配していたところですが、みなさんの報告から意外にどの子も元気に通学していることが分かりました。大変に嬉しいことです。

 これは一人ひとりの主体性の確立を目指した風の子保育園の自由保育の成果であろうと、確信することができるものでありました。

 風の子保育園の保育は、担任が何かの目標をきめて取りくむ作業の設定をすることは勿論ありますが、基本的には自由保育を基調としています。それは子ども自身が遊びを自分で選択して決めることです。今日は何をして遊ぼうか、誰君と一緒にやろう。昨日の続きをして遊ぼう、等々を子ども自身が決めていきます。子ども自身が決められなかったり、思案しているばあいは担任が手助けします。一人ひとりの子が、自分のペースをもって生々と生活することが大切です。赤ちゃんの時から就学するまで、大人から指示されて、大人の意図した方向に応える生活を続けていると、指示待ち症候群となって自分の主体性を確立できません。

 その意味で風の子の卒園児は、一人ひとり自立して成長していくものと信じています。  

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