視点

視点(8)
障がいのある子への配慮~下に弟妹ができたとき

 今回は、下に弟妹ができた場合に、どんな配慮が必要かについて考えます。

 ・・・A君は言葉の発達がゆっくりですが、少しずつお母さんに甘え、視線を合わせ、してほしいことを大人の手を取って要求するようになってきました。ところが、2歳のときにお母さんが次子を妊娠、妹が生まれたのを境に、様子が一転、お母さんに寄ってこなくなり、一人遊びが増えました。妹をあやすと機嫌を損ねます。その他にも、こだわりが強くなる、ウロウロする、言葉が増えない、話しかけに振り向かない、あえて叱られることをするなど、気になる行動も出てきました。元気な妹は何かあれば大声で泣く、あるいは食事・排泄・着替えなどに手がかかるため、お母さんは以前のようにA君にゆったり関わることができません。きょうだい二人をどのように見ていくか、大きな困難に直面しています。・・・

 A君のように下に弟妹ができると、上の子は母親に要求や甘えを出しにくくなります。言葉で伝えてくれないので、周りの人は我慢していることになかなか気づきません!

 それは妊娠期から始まっています。母親の身体や行動の変化、「お兄ちゃん、お姉ちゃんになるのだからしっかりしてほしい」という期待を敏感に感じ取ります。出産後、突然目の前に現れた赤ちゃんに戸惑います。こうした局面で、お母さんを強く求める子もいますが、それができずに甘えたい気持ちを抑えてしまう場合も少なくありません。先に挙げた「一人遊び」「ウロウロする」「叱られることをする」などは、上の子の立場から見れば、「過度の我慢」あるいは「母親への愛着をうまく受け止めてもらえない苛立ちや戸惑い」を表す行動であると考えられます。

 それでは、上の子が、弟妹がいても、母親に自信を持って甘えや思いを伝えられるようにするには、日常生活でどのような配慮が必要でしょうか。
・弟妹の世話をしながら、引っ込みがちな上の子に気を配り、声をかけるなどメッセージを送る。
・上の子の喜ぶスキンシップや遊びを十分に行う。
・弟妹が上の子の物に手を出すときには、上の子の立場に立って弟妹をたしなめる。
・上の子が困った状況におかれたときは、じっくり慰める、etc.

 これまできょうだいを育ててこられた先輩のお母さんは、ご自身の経験と照らし合わせて、良い知恵や工夫を、後輩のお母さんにぜひ伝えていただきたいと思います。

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