視点

視点(3)
「突然」と見えても、その行動には「わけ」があります

 急に泣き出す、ぐずる、怒り出す、ケタケタと笑い出す、それ以外にも、理由の分かりにくい行動として、頭を打ってもケロッとしている、使っているおもちゃを取られても平気な顔をしている・・・など、家庭や園の生活の中で、お子さんが、「なぜ???」「あれ?!」と思うような行動をすることがありませんか。

 子ども自身が意識しているか否かは別にして、すべての行動には「わけ」があります。その「わけ」を子どもの側から考えてみましょう。子どもは言葉で説明できないので、どのような視点から理解するかは、大人の力量(経験と想像力)にゆだねられています。

 たとえば、私たち大人でも、不快・不安・不満や未解決の悩みを抱えていて心にゆとりがないと、ちょっとしたことで涙もろくなったり、腹が立ったりします。また、ふだんは普通に聞こえている周りの音や声も耳障りで「うるさい」と感じたりします。急に涙を流す大人にはちゃんと「わけ」があることが分かります。子どもだって同じです。それどころか理性の育ちが未熟な子どもの場合はなおさらです!

 ですから、子どもが急に泣き出したりぐずったりするときは、心にゆとりがない状態になっていると仮定してみるのです。そして、生活全体を見渡して、どこに不本意な思い、不快・不安・不満があるかを点検します。

 それにはチームワークが必要です。具体的には、お父さんとお母さん、家庭と園がお子さんの家での様子、園での様子を持ち寄ると、それまで気づかなかった「過度の我慢」やストレスの原因を発見できることがよくあります。たとえば、子どもから見ると、「嫌が言えない」「辛さ・不安・おそれを理解してもらえていない」「能力以上の課題を要求されている」「楽しさ・喜びを共有してもらえていない」・・・などです。大人の態度、大人同士の関係、きょうだい関係などが影響している場合もあります。

 背景が分かれば、「本人の意思を丁寧に確認する」「大人の働きかけをどのように受け止めているかを見直す」「戸惑いや葛藤を引き起こしている人間関係を調整する」「子どもの声に耳を傾ける」など、問題解決に導く手立ては見つかります。子どもはすぐに大人の態度の変化を察知します。理解してもらえそうな大人には、意思や気持ちを伝えたいと思うようになり、結果的に、最初に例に挙げたような突然の行動やわけの分かりにくい行動は必ず減っていきます。なぜなら、心にわだかまりを溜めておく必要がなくなるからです。

 このことは実践を通して確かめることができます。

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