視点

視点(20)
相談の勧め

 子どもが成長の過程で「大人の支え」を得て意欲的になるのと同じように、私たち大人にとっても、安心感や自信を持って育児ができるには、「心の支え」が必要です。今回は、困難や問題に直面してもそれに対処できる『相談』の持つ意味を考えます。

 大きな困難や問題に直面したとき、私たちには自分の持つ経験で対処できる場合とできない場合があります。その違いが自覚できれば、必要な時に援助を求められるので、事態は必ず改善・解決の方向に動きます。しかし、「私が頑張らなくては!」という思いが強すぎると、限界ぎりぎりまで我慢する結果、窮地に陥りやすくなるのではないでしょうか。

 特に一番密に子どもと接しているお母さん方は、いろいろな意味で負担感を抱えやすい位置におられます。心身ともにゆとりがある時ばかりではありません。お子さんとの関わりに伴う苦労や心配のほかに、お母さんご自身の体調、悩み事、きょうだいの世話や家事に追われる、周りの人の理解や協力が得られない、人への気遣い等々、日々の生活では負担感や疲労感を助長する事態がしばしば起こります。

 そんなとき、ご家庭や周りに事情をよく理解してくれる相談相手、一緒に考えてくれる人がいると、随分助かります。不安・悩み・愚痴など話を聞いてもらうだけでも負担感が軽減します。ある精神科医は、『話す』は(悩みという荷物を自分から)『離す』に通じる、と相談の効用を巧みに表現されました。また、話しているうちに自然に問題が整理され、無自覚だった事柄に気づかされることもよくあります。さらに第三者と知恵を合わせることで、新たな解決法を発見する場合もあります(この共同の問題解決を、「あっちや!こっちや!」と一緒に魚を追い込んで捕まえるチームワークに譬えるカウンセラーもいます)

 子どもたちの健やかな成長には、お母さん一人でなく、お父さんや周りの人の理解や協力が必要です。しかし、現実にはどの家庭も課題を抱えているのが普通です。お父さんの仕事が忙しい、考え方や見方の違いから相談できない(と思い込んでしまっている)場合も多々あると思われます。

 お子さんが元気になるには、お母さんの心のケアは欠かせません。将来に向けて、ご家庭内で相談できる関係を築けるよう、根気強く取り組まれることを願うと共に、私たちもお子さんの成長を共に支え、様々な問題解決を保護者の方と一緒に考えたいと思います。『相談』がもたらす負担軽減・問題解決の経験は、必ずや「少々のことがあっても大丈夫!」という自信と、ピンチをチャンスに変える『家族力(家族としてのパワー)』を培います。

 是非、グループ相談だけでなく、個別相談もご活用ください。

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