視点

視点(2)
「気づく」ことから「関係を築く」

 人間は一人では生きられません。人と共に人の中で生きていきます。人と人との交わりの中でいかにその子らしい生き方を実現するか、それが何より大切です。

 今回は、成長の土台となる「心のよりどころを築く」大切さを考えます。

 生活する上で大きな困難に直面したとき、子どもはどういう行動を取るでしょうか。自分ひとりで処理しなければならなければ、そのしんどい場面を避ける、じっと我慢する、あるいはがむしゃらに突進して壁を突破するしかありません。困難に直面した時の不快・不安・不満をうまく人に伝えられなければ、それを紛らわすために、一つの物に必死にこだわったり、相手を押し倒したり、噛みついたりするかもしれません。

 その行動をやめさせるために、叱ったり、他に注意を向けさせたりするのが通常のやり方でしょう。しかし、この場合、対症療法ではうまくいきません。かえって叱る大人を避けるようになり、かんしゃくも激しくなります。

 それでは、どう対処すればよいでしょうか。そこに子どもの立場に立って、行動の意味を理解するための新たな視点が必要となります。

 まず私たちは、上のような必死の行動をとるのは、子どもがこれまでの生活の中で困った時に人の援助を得て問題を解決する経験が少ないからと捉えます。「自分で何とかするしかない」と思い込んでいるといってもよいでしょう。ですから、表情や視線、行動から、本人が不快・不安・不満、困っていることに気づき、対処してくれる大人がいれば、子どもは意味の分かりにくい行動を取らずに、困難な局面に援助を求める方法を学ぶはずです。大人が子どもの心に目を向け、それに気づき、それを確かめるかかわりが前向きな生活を創る出発点となるのです。子どもは安心感を与えてくれる大人を必死で探しています。

 そういう視点からもう一度、日々のお子さんへの大人の関わりを見直してみましょう。たとえば、おもちゃを取られても平気な顔をしているお子さん、転んでもケロッとしているお子さん、すぐに人のものに手が出てしまうお子さんetc、こうした子どもたちには、どんな経験や配慮が必要でしょうか。私たちができることを具体的に考え、実際に確かめてみましょう。そして、実際にかかわってみましょう。

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