視点

視点(12)
安心して新しい環境になじむために

 新年度が始まって早1 カ月、お子さんは新しい環境になじんでいるでしょうか。今回は、新しい環境に入るときの配慮のあり方について、子どもの立場から考えます。

 子どもは環境変化に対して私たち大人が思っている以上に敏感です。クラスが変わると、教室はもちろん、部屋の様子、靴箱、持ち物を置く位置も変わります。物理的環境だけでなく、人の環境も大きく変わります。今までいた職員や友だちがいなかったり、新しい職員や友だちが来たり、今まで見てもらっていた職員が別のクラスに移ったりしています。

 そうした事態に直面したとき、「私は〇〇組?」「○○先生はどこ?」「あの先生は誰?」「○○ちゃんはどこ?」など、分からないこと、不安なことを職員や保護者に聞くことができれば安心感を得られますが、それが難しい場合、子どもは行動で表現せざるをえません。例えば、園では、以前のクラスに行こうとする(当たり前のことですが…)、落ち着かずうろうろする(見当たらない職員や友だちを探しているのかも…)、以前の職員に寄っていけない(遊んでもらえるのかなぁ…)、また家庭では、アルバムの写真をじっと見ている(あの先生、友だちはどこにいるのかなぁ…)、母親に無理を言う、甘えが強くなる、こだわりや気になる行動が再び出てくる、寝つけない、登園を渋る、などが良く見られます。

 こんなとき、保護者は、「突然調子が崩れた」「前のしんどい状況に後戻りしないか」と心配し、「新しいクラスや職員に早く慣れさせなくては」と焦って、前のクラスや職員の所に行くことを止めたり叱ったりするかもしれません。良い手立てはないものでしょうか。

 このような問題を解決するには、保護者と支援者が子どもの行動の背景にある心の動きに着目し、協力しあうことが大切です。具体的には、家と園における行動変化を照らし合わせ、不安や戸惑いの内容・原因を推測して、「前のクラスに行くことを認める」「気にしている職員や友だちのことをきちんと伝える」「新旧の職員同士が共に関わるようにする」など、不安を解消する方法を一緒に考え試みます。行動に秘められた気持ちを保護者と支援者の双方にしっかり受け止めてもらうと、子どもは必ず落ち着きます。新しい環境に慣れさせるために行動を制限したり繰り返し教えたりするのでなく、環境の変化から派生する不安や戸惑いに対する細やかな配慮と共に、ワクワクする出会いや経験を重ねることによってこそ、安心感と意欲に裏打ちされた前向きな生活が拓けます。

 子どもの行動の意味を理解する視点と、家庭・園の協力関係が問われるところです。

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