視点

視点(1)
子どもの立場に立つと見えてきます

 この3 月から4 月にかけて、保護者の皆様から子育ての様々な問題や心配について個別にお話を伺いました。中でも多かったのは、ことばの発達に関する悩みです。そこで、今回はことばについて考えてみます。

 ことばが育つには、①伝えたい内容、②伝えたい相手、③伝える手段が必要です。一言で言えば、「この人に、こんなことを、伝えたい」という人間関係をどのように築くかが要です。たとえそのように見えなくても、子どもは好きなことを一緒にしてもらえる人、困ったときに助けてもらえる人を一生懸命求めています。一番身近なお母さん、お父さん、園の職員がそのような存在であれば、どれほどうれしいことでしょう。

 しかし、大人の方は「こうあってほしい」と願うあまり、何とかしてことばそのものを教えようとします。たいていの人は経験上思い当たると思いますが、期待通りの成果はなかなか得られません。ことばをかけても、子どもは知らん顔をしたり、聞き流したり、場合によっては大人の口をふさいだりします。そうすると、大人はつい「話しかけても理解できない、わからない子」「障害があるから仕方がない」と子どもの側に原因を求めがちで、子どもの思いと大人の願いの間にずれが生じてしまいます。うまく伝わらないと、大人も自信を失ってしまいます。他に解決の道はないのでしょうか。

 大人のことばかけについて言えば、子どもは子どもなりに心地よいことばと、そうでないことばを区別します。心地よいことばには、『そうやねん!』と思わず心の中で相槌を打ちます。そのことばが心に届けば、力が抜ける、視線が合う、にこっとする、うなずくなど行動に現われます。反面、聞きたくないことばは、聞き流されるか反発して撥ねつけられます。

 一体大人のどんなことばかけが子どもの心に響くか、子どもは大人のことをどう見ているのか、子どもの立場に立って想像してみましょう。そして子どもの表情や行動で確認しましょう。これはひとりでは気づきにくい難しい作業です。大人同士が力を合わせ、得られた知識を共有できるようにしましょう。

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